o詩題…小田原より箱根を登り一泊、三月二十日(月・祭日)三島に下り三島大 社にて鬼丸龍州氏始め三島教場の方々の出迎えを受く。
o青山…緑なす箱根山。
o朋党…なかま。
o祠畔…ここでは三島大社の鳥居のあたり。
正殿の前で清らかに吟じたがその声は静かさを破り、我々の意気が箱根の山をおおうようだった。
この旅で忘れがたいのは吟友が神社の入り口で待ちかまえ手を振り、我々を歓呼して迎えてくれた笑顔の数々であった。
三島に下る旧道の石畳は、市街に近づくと整備されて現れ、町の中に解けいっている。
快晴に恵まれ、爽快な気分で箱根を下った。
「三島大社はこの道でいいんですか?」
玄関先に出ているお婆ちゃんに尋ねる。
「はい、これを道なりにまっすぐです」
一昔前のように丁寧な物腰だ。
「箱根を二日がかりで越えてきました」
「どうもご苦労様です」
と、あくまで丁寧にお辞儀をされた。
さて、あれが大社の正面かなと思った矢先、
「来た来た!宗嗣!」
ワーッと手を振っている。
三島教場の面々に迎えられた。
大社のご厚意で正殿前に奉納吟となる。
「天てらす 神のみいつを仰ぐかな ひらけゆく世にあふにつけても 明治天皇御製」
「富士山 石川丈山作」
吟声は静かな大社の庭に響きわたる。
三島の吟友の出迎えがしみじみと嬉しく思えた。
軽い打ち上げをして、大満足の中を新幹線で帰った。
と、次にはそこに思いがけない出会いが生まれた。イギリス人の学者夫妻クラウンさんという。 これは今日尚、お付き合いが広がりいよいよ盛んになっている。後に述べることにしたい。