岳精流日本吟院総本部

五十二 宮島を望む

o安芸…今の広島県の一部。

o斜景…夕日。

o漣漪…さざなみ。

o居然…どっしりとして安らかな様。

 

詩意

黄昏(たそがれ)せまる安芸の海。夕日はさざ波に照り映えている。
宮島は黙して語ることなく、居然として太古の昔より営みを続けている。

解説

午前中は十一時過ぎまで平和記念公園を見学し一路宮島口に向かった。
 国道二号線に沿って行くわけだが、先ず太田川を渡る。
川を渡って市街地に入り、川を渡って別れを告げるかたちが多い。
 幹線をひたすら歩いた。
海岸に沿っている道が実際に海辺に出たのは二日市市(ふつかいちし)の外れであった。

 海が開けると心も開ける。海はいい。
  堤防に腹這いになって眺めてみた。
方角は南になるのだが、暮れかかったセピア色の空の下に宮島が見える。

 すぐ側の小さな砂浜で幼い兄弟がお父さんと海水浴をしている。
浜辺に打ち上げられた棒っきれをとっては振り回してかけまわっている。
子供は遊びの天才か
どんなものでも道具にして飽きずによく遊ぶものだと思った。
 無心に子供が飛び跳ねている光景は詩的だ。    

 朝は左足の靴底がすり切れていたが、夕方には右足の靴底が同様にすり切れた。
足指の根本の部分が横一線に、堅い靴底が無くなっている。
靴が柔らかい部分を境に反り返る感じになっていた。
足には悪いのかも知れない。
 しかし、良く歩いた、すり減った靴が勲章だ。